フォーマット：1CD
コンディション(ジャケット/盤)：NW/NW
備考：BBC & LIVERPOOL EMPIRE

ビートルズのコンサートをオープニングからエンディングまで収めたライブ音源の中では最古の素材となる’63年12月7日の英リバプール、エンパイア・シアターでのライブ演奏をメインに、他のアーチストのカバー・ナンバーばかりをBBCセッションよりセレクトした’78年AUDIFONレーベル(現在「AUDIFON」を名乗っているグループとは別人です) リリースのLP盤をモチーフとした拡大補充盤です。オリジナルLPのB面にノーカットで収められたこのリバプール・エンパイア公演は英BBCによってTV録画され、収録当日の夜のゴールデン・タイムに特番「IT’S THE BEATLES」としてオンエアされました。’63年当時大きな社会現象となりつつあったビートル・マニア現象をイギリスのお茶の間に届けたこの番組は「TVでは初めてビートルズのコンサートを編集等を一切せず丸ごとオンエアする」というコンセプトで、ビートルズとBBCにとっても初の試みであったのですが、リハーサルの時間が限られていたことや始終鳴りやまないファンの絶叫に演奏がかき消される等の問題もありその後一切再放送されませんでした。番組のマスタービデオも永久保存されることなく、これは信じがたいことですがその後局内でビデオ編集エンジニアの練習素材としてハサミでズタズタに切り刻まれてしまい、現在ではかろうじてラストの3曲が所々欠損箇所はあるものの現存するのみで、近年のBBCの番組で「TWIST AND SHOUT」のみが頭から欠損箇所寸前の部分までオンエアされたり、米キャピトルが’80年代に制作した「I WANT TO HOLD YOUR HAND」のプロモ・ビデオに映像素材として提供されたり、また様々なコレクターズDVDでそのビデオ・マスターの「残骸」の様子を見ることができます。

この音源は上述の通り’78年にLP盤でTVのスピーカーよりマイクロフォン経由で収録されたまずまずの音質のオフライン音源が登場したのを皮切りに、当時久々の初登場のライブ音源ということで人気があり、その後手を変え品を変え上記のオフエアー音源が様々な形態でリリースされ続けました。 ‘80年代のコレクターズCD創世期にあっても本音源はさしたる向上もなく、音の荒い針起こしの音質で雑にCD化されてみたり、また上述の後発ビデオ音源とのコンビネーションで編集処理を施したバージョンがプレスCDとしてリリースされており、これといった決定盤のないままの状態が長く続いておりました。

そのような状況が打開されたのが、2008年にインターネットの投稿サイトYOUTUBEでこのエンパイア公演をTVのイヤホンジャックからライン収録したテープが公開され、そこから起こされた音源を使用したコレクターズCDも登場する等して音源マニアの間で大きな話題となったことは記憶に新しいところです。その後’63年のエンパイアといえばこのアップグレード音源のことを指すようになり、ベスト・ソースとして認知されてきましたが2010年に突如やはりこの公演をラインフィード収録したYOUTUBE音源とは別のニューソースが発見されこれも大きな話題となりました。本CDはその2010年新発掘版のライン収録テープをソースとしており、これまでリリースされたどのエンパイア公演関連のCDよりも高音質と収録タイムの長さを誇ります。尤もこの新規発掘テープにも欠点が無い訳ではなくオープニングとコンサート途中で計2個所ほどカット箇所があり欠落しておりますが、上述のYOUTUBE音源とのコンビネーション編集処理でコンサート全般では問題無くノーカット収録となっています。補填のYOUTUBE音源はインターネット・レーベルのPURPLE CHICK盤から流用されておりますが、気になったネット音源特有のキンキンした高域も綺麗にレストアされ大変聴きやすくなりました。演奏の方も初期の名演として名高く正規発売までされた’63年10月のスウェーデン公演のライブ音源に匹敵する名演揃いで、「ROLL OVER BEETHOVEN」や「MONEY」といったロックンロールのカバーでは素晴らしくノリの良い演奏を披露しており、またやや低音が弱くバランスの悪かったYOUTUBE音源に比べポールのベースラインも聴き取りやすくなっており、演奏面での研究をされている方にも良い資料になるかと思われます。

LPでA面に収められていたスタジオ録音11曲分もオリジナル盤に忠実なテイクで収録され、その大部分は「LIVE AT THE BBC」で正規発売されましたが、今回は‘94年の正規リリース以降に登場したアップグレードしたテイクを中心に丁寧にリマスタリングされ、「LIVE AT THE BBC」であまり評判の良くなかった各トラック間のクロスフェード編集による曲のエンディングの短小化も綺麗にオリジナルのタイミング通りに修復させています。

パッケージは’78年リリースのオリジナルLPのアートワークを忠実に再現し、懐かしいJP盤国旗帯を模したユーモア溢れる美麗オビ付きでのリリースになります。本作は初期ビートルズの上昇期である’63年当時の熱気溢れるパフォーマンスをコンパクトに集めた好タイトルで、マニアにも初心者の方にも絶対オススメのタイトルです。

01. TOO MUCH MONKEY BUSINESS (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #13, SEPTEMBER 10,1963)
02. THE HIPPY HIPPY SHAKE* (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #13, SEPTEMBER 10,1963)
03. SWEET LITTLE SIXTEEN (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #6, JULY 23,1963)
04. DEVIL IN HER HEART (EMI STUDIOS-STUDIO TWO, JULY 18,1963)
05. A SHOT OF RHYTHM AND BLUES (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #3, JUNE 18,1963)
06. MEMPHIS, TENNESSEE (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #3, JUNE 18,1963)
07. SURE TO FALL (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #3, JUNE 18,1963)
08. YOUNG BLOOD (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #2, JUNE 11,1963)
09. CRYING, WAITING, HOPING (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #8, AUGUST 6,1963)
10. KANSAS CITY/HEY! HEY! HEY! HEY! (BBC-RADIO POP GO THE BEATLES #8, AUGUST 6,1963)
11. I FORGOT TO REMEMBER TO FORGET (BBC-RADIO FROM US TO YOU #3, MAY 18,1964)

12. FROM ME TO YOU
13. I SAW HER STANDING THERE*
14. ALL MY LOVING*
15. ROLL OVER BEETHOVEN*
16. BOYS*
17. TILL THERE WAS YOU*
18. SHE LOVES YOU*
19. THIS BOY
20. I WANT TO HOLD YOUR HAND*
21. MONEY*
22. TWIST AND SHOUT*
23. FROM ME TO YOU/THE THIRD MAN THEME

(TRACK-12〜23 BBC-TV IT’S THE BEATLES, DECEMBER 7,1963
LIVE AT EMPIRE THEATRE, LIVERPOOL)
(*)印は アップグレード音源使用